こちらの記事は最近お世話になっているリベラルアーツ大学 両学長のこちらの動画に触発され、実際に調査・契約見直しをした経緯・結果を記したものです。
自分の契約を見直す際に色々と調べたのでまとめました。
本投稿が役に立つかもしれない方
・賃貸にお住まいの方
・固定費を下げたい、と思っておられる方
・数万程度で良いからお小遣いが欲しい方
・火災保険って何なのか分からず、知っておきたい方
検討前に抑えておきたい予備知識
失火ノ責任ニ関スル法律 (失火法、失火責任法)
仮にあなたが家を燃やしてしまい。隣近の家を燃やしてしまった場合、賠償する責任はあるでしょうか?
逆に、お隣さんが家を火事をしてしまい、あなたの家が燃えたとします。お隣さんは、賠償をしてくれるでしょうか?
これは共にNO!ちょっと驚きですよね。
民法第709条の規定は、失火の場合には、適用しない。ただし、失火者に重大な過失があったときは、この限りでない。
Wiki
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
Wiki
木造が多かったことから、個人に責任を求めるのは現実的ではない、という考え方からこのようになっています。詳細については割愛。このようになっているのです。
重過失がある場合は話が変わります。
賃貸契約時、原状回復をめぐるトラブルとガイドラインの概要
国土交通省の定める、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。
平成10年3月に取りまとめたものであり、平成16年2月及び平成23年8月には、裁判事例及びQ&Aの追加などの改訂を行われています。
ガイドラインによると原状回復とは賃借人が借りた当時の状態に戻すことではありません。
原状回復は「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」で、その費用は賃借人負担。
経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるとされています。
ガイドラインのダウンロード先
こちらには 入退去時の物件状況及び原状回復確認リストも含まれています。
https://www.mlit.go.jp/common/000991390.pdf
ガイドラインの説明会(動画 YOUTUBEリンク)
その1 https://www.youtube.com/watch?v=ztwYNAXZ8GQ
その2 https://www.youtube.com/watch?v=QEh0tY_6uj4
その3 https://www.youtube.com/watch?v=rpZsCWutGww
その4 https://www.youtube.com/watch?v=8BJFVbOYt0c
トラブルと賠償のケーススタディ
※個別の状況により結論が変わる可能性があります。下記は一般的な基準で一例として挙げているだけです。法的なアドバイスは法律家の専門です。トラブルになりそうであれば下段の相談リンク先へご連絡ください。
「火災保険」と一見関係なさそうにおもう項目があるかもしれませんが関係ありますからね。
●普通に生活していて、クロスが劣化した
→日常の損耗に含まれる可能性大、大家さん負担で借主には負担はありません。が、カーテンを一切しめずに焼けた等、借主側に過失がある場合は認められる可能性もあります。借家人賠償責任特約は「事故」に対してですから、使えないことが一般的です。
●過失があって部屋に傷をつけた
→借主の負担で直さないといけません。賠償責任を求められた場合は借家人賠償責任保険で直せるかの確認が必要です。「修理保険特約」の対応範囲になる可能性が高いです。
借りているものに個人賠償責任保険は使えません。
●自分の重過失で火を出した
→ 大至急!法律家や保険会社へご連絡ください。
709条により、大家さん及び近隣の方への賠償をしないといけません。重過失となるのかの解釈も必要です。自宅へは借家人賠償責任保険を使います。近隣へは個人損害賠償責任保険になる、はずです。
※故意が認められれば個人賠償責任保険も使えず人生詰みます。
●借主がお風呂の水を溢れさせて、下の階の方に被害が出た
→借主が下の階の方へ賠償する必要があります。個人賠償責任保険を使うことになるでしょう。借りている部屋への賠償も必要となれば、借家人賠償責任保険です。
※失火法の適用は失火だけで、709条が適用となるためです。
●隣の家から失火、火がうつり部屋の壁が焦げて、隣人に重過失がなかった
天災に見舞われた
→借主に過失がないのなら、大家さんが保障します。
●隣の家から失火、隣人に重過失があった
→隣人への損害賠償、各保険会社の対応確認等、面倒なケースかもしれません。法律専門家へ相談しましょう。
ご参考(失火法にて重過失と判断された例)
万が一このようなことになれば、弁護士の先生方に相談していきましょう。重過失かどうかは裁判所の判断になります。
①寝たばこの火災の危険性を十分認識しながらほとんど,何らの対応策を講じないまま漫然と喫煙を続けて火災を起こした場合
http://slaw.a.la9.jp/box/box9.htm
②電力会社が配線が垂れ下がっているのを現認したにもかかわらず,これを放置したために,強風のため電線が切れて家屋の火災が発生した場合
③藁が散乱している倉庫内で煙草を吸って,吸い殻を捨てたために,火災が発生した場合
④石炭ストーブの残火のある灰をダンボール箱に投棄したため火災が発生した場合
⑤石油ストーブに給油する際に石油ストーブの火を消さずに給油したことで,石油ストーブの火がこぼれた石油に着火して火災が発生し場合
火災保険って何?
さて、上述のケーススタディをご覧いただいたうえで、火災保険とは何でしょう?
火災保険は「火災や落雷、車両が飛び込んできた等、トラブルが起きた際に、生活が壊れないようにするための保険」です。
多くの人は18000円/2年以上の契約を結んでいそうです。
ケーススタディを見ていただければ伝わったかと思いますが、保険自体は必要ですし、決して悪いものではありません。
保険の内容としては主に次で構成されます。
自分の家財への保険(必須)
借家人として大家さんへの保険(必須)
周囲の方へ迷惑をかけた時の個人賠償責任保険(他でも代用可能)
その他の特約(盗難、地震、修理等)
契約の義務はあるか?
ありません。が、状況を考えると必須です。「契約しない」という選択肢は除外すべきです。可能性は低くとも万が一失火した場合に人生が終わる可能性があり、かつ適切に選べば費用対効果として有意義であるからです。
万が一失火してしまった場合には大きな賠償責任を背負うことになるので、入っておくべきです。
又、入居時には契約必須であることがほとんどですし、断れば契約してもらえない可能性もあるかと思います。貸し手としても、そんな入居者は嫌でしょう。
しかし!「不動産屋さんに薦められた契約に入り続けなくてはいけない」という決まりはありません。
賃貸で家を借りておられる方は、入居時に契約なされたかと思います。私の場合は2年契約でした。
契約時には、紹介者に報酬が入るようになっていますので、賃貸契約時には比較的高い契約を薦められることが多いです。こちらの部分は一旦契約しても良いのですけれど、賃貸契約の後に解除すれば日割りで費用を取り戻せます。
返戻は保険会社に定められていますのでご確認ください。1カ月以内であれば戻らないことが多いです。
家財・借家・個人賠償等のバランスがあなたに合っている可能性は低いです。
ぜひ見直しましょう。
金額を下げる方法はあるの?
あります。それは「契約解除&安い保険会社と契約」です。
まず現在の契約内容の確認を行いましょう。
次に、必要な保険の内容を考えましょう。
最後に、必要な保険をいくつかのサイトで入力し、価格を比較しましょう。
内容が十分であれば、どこで契約しても構いません。
賃貸であれば概ね次の2つで良いかと思います。
火災保険の見直し時に抑えるべきポイント
いざというときに使えなかったら意味がありません。 何をどう判断すべきなのか。必要な内容は何であるのかを考えていきましょう。
火災保険は、大きく次の3つで成り立っています。保険会社によって若干表現が変わります。
家財に対する保障
「火災保険」の規定上、主となる部分です。自分の所有する家財の金額を選びます。
これは人によりますが、多くの一般の方は200万円程度で賄えるのではないでしょうか。家族であれば、増やすべきかもしれません。高額な嗜好品をお持ちであればもっと必要な場合もあるでしょう。
必要な金額を検討しましょう。
大家さんに対する保障
借家人賠償責任のことです。
一番大事。借家は「レンタルしている部屋」です。個人賠償責任は他人に損害を与えた場合に適用されるもので、「レンタルしているもの」には適用されません。
そこを保障してくれるのが大家さんに対する「入居者賠償責任」「借家人賠償責任」です。
近隣の人に対しての保障
自分が重過失で失火してしまった場合の「個人賠償責任」です。
重過失の失火を除いても、水を漏らした等により損害を与えた場合に使用することになります。
示談交渉
必須ではありませんが、万が一の場合に諸々の示談交渉を代行してくれます。こちらは契約先に応じて変わりますので事前に調べておきましょう。
地震や風水害への保障は必要か?
考えるべきは「地震起因で害された家財の保障」です。地震に起因する火災に対しては、地震保険しか使えません。
家財を高く設定される方は、地震保険も付けた方が良いでしょう。ただ支払われる割合は低めですから、各保険会社の規定をご確認ください。火災保険と同額はおりないことが多いです。
地震や風水害でしたら、借家人の過失や故意は関係ありませんから、家自体については考える必要はありません。
家自体には大家さんが火災保険や地震保険をかけています。
参考までに、こちらは全壊や半壊等により保険のおりる範囲が定まります。東日本大震災の際にも、全壊と認められたケースは僅かです。こちらは持ち家の場合に検討すべきことですので、本項では割愛します。
契約すべき火災保険はなに?
ではどうしていくか。賃貸会社のいいなりにならず、必要な契約をしていきましょう。
家財保険
保険に応じて30万円以上は事前の申告が必要であったりします。貴重品の有無に応じて判断していきましょう。再調達価格が基本となります。
次は価格.com様記載での目安です。
専有・占有面積 | 33m²未満 | 33m²以上 66m²未満 | 66m²以上 99m²未満 | 99m²以上 132m²未満 | 132m²以上 |
賃貸 | 560万円 | 920万円 | 1160万円 | 1510万円 | 1840万円 |
---|---|---|---|---|---|
所有 | 340万円 | 620万円 | 860万円 | 1100万円 | 1360万円 |
私は美術品等のコレクトをしておりませんので、最低限の200万円程度で良いか、と判断しました。被災の可能性、生活を戻すことが可能か、平常時のキャッシュフローを勘案して判断しましょう。
借家人賠償保険
大家さんから損害賠償を求められた際に利用する保険です。
基本は失火に対していくらつけるべきか。借りている部屋の価値をベースに判断しましょう。要は「買ったらいくらするの?」と考えればよいです。立地や築年数により変わりますが、一般的には仮に地方で60㎡25年以上であれば1000万円つけておけば大丈夫ではないでしょうか。
契約時に薦められた金額に倣っても良いかと思います。
個人賠償責任保険
これは火災保険でつけるか、例えばクレジットカードの個人賠償責任保険につけるとして、火災保険にはつけない、という選択のできる部分です。
何が起こるか分かりませんので、1億程度はつけておいた方が無難でしょう。一般的に無制限は設定できないかと思います。
示談交渉はこちらに関わっていきます。付けておいた方が良いでしょう。
他の特約
保険会社によって過失、例えば「家具を移動させる際に建物に傷をつけてしまった」場合に保険がおりるかどうか、といったあたりで違いが出ます。
修理費用、地震や風災害等イメージしやすい部分をはじめ、孤独死への遺品整理等、各保険会社もサービスを考えていますので、色々と調べたうえで判断すると後悔がなくなるかと思います。
ひょっとすると、今の契約には本来必要な保険が含まれていない可能性もありますし。
諸々は、保険をあてにするか、自己責任として対処できるか、から判断します。
私としては自転車特約程度で構わないかと思いますけれど。
先述しましたが、基本としては「退去時には借家人賠償県は使えない」と思った方が無難です。退去時には契約が解消していることも多いですし、日常の損耗には保険は使えません。あくまで「事故」備えるための保険です。
くれぐれも欲をだして出費を大きくしないようにしたいですね。
全労災の住まいる共済、日新火災、全管協の比較
上述を必要分満たしていればどこでも良いのですけれど、一例として先述の2社を比較します。地震特約等が不要であれば、日新火災でよいのではないかな、と思います。
下記はあくまで仮定条件での比較ですから、契約時には各社に見積もりを取り、しおり等をご参照ください。
全管協は私がたまたま入っていたから^^ まぁ悪い保険ではありません。同様の金額まで保障にすれば、例えば全労災でも似たような金額になります。
住まいる共済:全労災
お部屋を借りるときの保険:日新火災
安心保険プラスⅢスーパー:全管協
住まいる | 日新火災 | 全管協 | |
家財 | 20万~ | 100万~ | 400万~ |
借家人 | 500万~ | 2000万固定 | 3000万 |
個人 | 選択制 | 1億固定 | 3000万 |
示談 | 選択制 | あり | なし |
地震 | 選択制 | なし | 選択 |
盗難 | 選択制 | 家財に含む | 含む |
修理 | なし | 300万 | 100万 |
更新 | 継続加入申込書の返送 | 自動更新有 | 随時申込み |
最低費用 | 1500円~(1年) | 4000円~ (1年) | 18000円(2年) |
日新火災が特に何も考えずに選んで問題なさそう。ただ個人賠償をカード等でカバーできる場合は無駄が出てしまいますね。
現在の保険費用と比べてある程度落とすことができれば、些細な違いに拘るよりもまず動いてみる方が良いでしょう。
最後にトラブル時の相談先
最後に。こちらは重過失やガイドライン解釈等、グレーな部分に対して、どこ相談すべきかのまとめです。
各地の役所の生活課(市役所等へご連絡ください)
独立行政法人 国民生活センター 消費者ホットライン「188」
では皆様が固定費を削減し、より資産の有効活用をできることを願って、締めさせていただきます。